虹はいまだ旅の途上
バンクーバー、ソウル、チューリッヒ、アムステルダム、パリ。台湾で生まれ、日本で生きる芥川賞作家が旅した、2024年の記録。
- 定価
- 2,200円(本体 2,000円)
- 刊行
- 2026/04/23
- ISBN
- 9784760156573
- 判型
- 四六判
- ページ数
- 336
- ジャンル
- 文学・エッセイ・ノンフィクション

内容・目次
内容
「正史」や「正典」に刻まれない、小さな声を拾い集めて――
バンクーバー、ソウル、チューリッヒ、アムステルダム、パリ。台湾で生まれ、日本で生きる芥川賞作家が、五つの都市をクィアに旅した2024年の記録。
“台湾で生まれ、日本で生活し、日本語と中国語を主要言語とし、アジアからほとんど出たことがない私は、欧米発祥の「クィア」という言葉とそれにまつわる諸文脈から切り離され、長い間、断絶を余儀なくされてきた。しかしバックラッシュは文化や言語、国家の境界線をものともせず、世界規模の波となって襲ってきた。である以上、私も自身の文脈を、クィアの歴史という文脈にもう一度接続し直さない限り、バックラッシュの正体を見極めることができない。これから記すのは、いわば「文脈を繫ぎ直す」ための旅だ。”(プロローグより)
【著者略歴】
李琴峰〈り・ことみ〉
1989年、台湾生まれ。作家・日中翻訳者。2013年来日、17年『独り舞』で第60回群像新人文学賞優秀作を受賞し、デビュー。『五つ数えれば三日月が』で第161回芥川賞・第41回野間文芸新人賞候補、『ポラリスが降り注ぐ夜』で第71回芸術選奨新人賞受賞、『彼岸花が咲く島』で第34回三島由紀夫賞候補・第165回芥川賞受賞。他の著書に『星月夜』『生を祝う』『観音様の環』『肉を脱ぐ』『言霊の幸う国で』『月を見に行こうよ』などがある。
目次
プロローグ 文脈を繫ぎ直すために
バンクーバー編
1 雨のバンクーバー
2 終わりのない抵抗
3 クィア・ラウンジと女性センター
4 初春のキャンパス
5 気さくでドジでチャーミングな通訳者
6 日本でクィアを書くということ(講演録)
7 緩やかな紐帯
8 パンセクのドラゴン
9 デイビー・ビレッジ
10 私には妻がいるよ
11 恋に破れてパイロット
12 君は変革を望むと言ったね
13 生き延びる芸術
14 壺中の天地
15 クィア的ディアスポラ
ソウル編
1 ソウル、夜の再会
2 人生の給油
3 三銃士
4 歴史の土
5 芳荑洞の夜
6 飛び石状の時間
7 アクアフィールド
8 勝手に祈らないで
9 二般の世界
10 神の裁きを押しのけて
11 弘大の陽キャたち
12 韓服ガールズ
13 今夕また何の夕べぞ
チューリッヒ編
1 木漏れ日の移ろうチューリッヒ
2 リマト川沿いのテラス席にて
3 ダニエラ一家
4 夏の夜のライブ
5 ブランチ・ストライキ
6 紫の女たち
7 束の間の解放区
8 解放されたら危ないぞ
9 Binary Is Not for Humans
10 シャフハウゼンそぞろ歩き
11 ダニエラ宅の夕食会
アムステルダム編
1 自由の街・アムステルダム
2 アムステルダムの住宅事情
3 私たちの悲嘆可能性
4 プライドの葛藤
5 過去、現在、未来
6 犠牲者の象徴
7 飾り窓地区と売春博物館
8 旅は道連れ、夜は……
9 クィアたちの夕食会
10 ロッテルダムの再会
11 ラベンダーの闘い
12 過去、現在、未来……?
パリ編
1 愛と死の街・パリ
2 パリLGBTセンター
3 凱旋門とシャンゼリゼ通り
4 エッフェル塔のありふれた夜
5 夜中のハプニング
6 La MutinerieとThe LABO
7 クィア的パリ散歩
8 若者は極右をクソ食らえと思ってる
9 パレード後夜祭
10 モンマルトル詣で
11 高架下のクィア・パーティー
12 六月の終わりに
13 人生(クィア)の旅(たたかい)は続く
エピローグ 虹はいまだ旅の途上