みんなこうして連帯してきた 失敗のなかで社会は変わっていく
権力者にとって「都合の悪い歴史」を記憶しよう!労働者階級出身のクィアが紡ぐ、世界に散らばるありえないような団結の記録
- 定価
- 2,640円(本体 2,400円)
- 刊行
- 2026/03/24
- ISBN
- 9784760156535
- 判型
- 四六判
- ページ数
- 382
- ジャンル
- 政治・経済・社会・教育・民族

内容・目次
内容
“権力者が団結を嫌うのは、それが搾取への抵抗という共通の目的をもつさまざまな人々を一つにするからだ。”(本文より)
過去に芽生えた希望がわたしたちの命綱。だからこそ、権力者にとって「いちばん都合の悪い歴史」を記憶しよう。「アライシップ」という言葉が生まれるずっと以前から存在した、団結と正義のための闘いに目を向けるための一冊。
【本書の特徴①「分断を超えてつながる!」紡ぎ直されるクィアな社会運動史】
有色の人も、障害のある人も、肥満の人も、移民も、難民も、ホームレスも、セックスワーカーも、フェミニストも、先住民も、気候変動活動家も、労働組合員も、ゲイも、レズビアンも、トランスも、ドラァグも……
異なる人々が、どのように手を取り合い、社会を変えようとしてきたのか。「失敗」と見なされた運動の中にも、小さな勝利の可能性は埋もれている。労働者階級出身のクィアが綴る、世界に散らばるありえないような(実際にあった)団結の記録。
【本書の特徴②「抗っても変わらない?」絶望を反転する力強い物語たち】
人種差別、移民差別、女性差別、同性愛者差別、トランスジェンダー差別、職業差別、障害者差別、容姿にもとづく差別……
この社会には数えきれない問題がある。それぞれ独立した問題に見えるかもしれないが、その背景には帝国主義、資本主義、家父長制など共通の構造がある。暴力的で搾取的な構造を見逃さず、差異を超えて一致点を見いだし、怒りながらもユーモラスに闘ってきた先人たちの「連帯の歴史」に学ぶことで、いまを生きるわたしたちの闘い方も見えてくるはずだ。
“世間知らずの楽観主義に固執するべきだ、常に肯定的(ポジティブ)であれと主張するべきだと言っているのではない。まるで勝ち目がないのに、状況はそこまで悪くないとあなたを安心させようとする人間ほど腹の立つものはない。状況が悪いことは往々にしてある。場合によっては、本当に悲惨な現実に直面することさえある。だが、どれほど不幸であっても、そのとき必ず全員で生き延びるのだと決意して、できることをやり続けなければならない。世界はもっとよくなるという希望をもち続けるために。”(本文より)
【目次と、各章に掲げられるエピグラフ】
†はじめに
“連帯なくして自由なし。”――連帯(ポーランドの労働組合)
†労働者階級の戦争
“争点が一つだけ(シングルイシュー)の闘争など存在しない。わたしたちは問題が一つしかない人生を生きているわけではないのだから。”――オードリー・ロード
†虹の連合を築く
“レイシズムをもってレイシズムを制することはできない。連帯を武器に闘わねばならない。”――ボビー・シール
†いたずらをする
“世界の労働者たちよ、マスターベーションせよ!”――同性愛革命行動戦線(FHAR)
†TERFもSWERFもいらない
“売春婦が安全でなければ、すべての女性は安全でない。”――イギリス売春婦コレクティブ
†同情なんてくそくらえ
“わたしたちは恩知らずの障害者。侮るなかれ。”――バーバラ・リシキ
†エイズ危機からの報告
“恋人たちの軍隊は負けるはずがない。”――クィア・ネーション
†炭鉱夫と変態
“一晩で何かが変わることはありません。しかし、いまや14万人の炭鉱労働者は知っています。自分たちのほかにも問題を抱え、目的のために闘っている人たちがいることを。黒人のことも同性愛者のことも核軍縮のことも知っています。明日のわたしたちは、決していまと同じではないでしょう。”――デヴィッド・ドノヴァン
†デブもフェムもお断り
“わたしはかれらが最も恐れる姿をしている――太っているのだ。”――ミシェル・オーリー
†治療アクセス・キャンペーン
“南アフリカでは、わたしは黒人であるがゆえに抑圧されている。ゲイであるがゆえに抑圧されている。よって自由を手に入れるには、わたしは両方の抑圧者と闘わねばならない。”――サイモン・ンコリ
†地球なくして未来はない
“人権が守られ、尊重されてこそ、気候変動の緩和が実現する。”――ヴィクトリア・タウリ=コープス
†国境に反対する
“クィアの連帯は国境を打ち砕く。”――レズビアンズ・アンド・ゲイズ・サポート・ザ・マイグランツ
†リプロダクティブ・ライツのためのトランスの闘い
“わたしたちの身体(からだ)はあなたたちの戦場。”――イザベル・ソラス
†熱いストライキの夏
“われわれは合法的だ。これまでもずっとそうだった。”――OTRAS
†解放に向かって
“世界の究極の隠された真実とは、世界がわたしたちの作り出すものであり、簡単に別様に作ることができる、ということだ。”――デヴィッド・グレーバー
※本書はSHOULDER TO SHOULDER: A Queer History of Solidarity, Coalition and Chaos by Jake Hallの日本語訳である。
【著者略歴】
ジェイク・ホール〈Jake Hall〉
作家、ジャーナリスト。10年以上にわたってインターセクショナリティ(交差性)やクィアカルチャーをテーマに執筆活動をし、『ブリティッシュ・ヴォーグ』誌、『インデペンデント』紙、『ピンクニュース』、『デイズド』誌、『iDマガジン』誌、『ヴァイス』、『リファイナリー29』、『スレート』などに幅広く寄稿している。初の書籍『ドラァグのアート』(未邦訳)は2020年に出版され、いくつもの賞を受賞した。ドンカスター出身の労働者階級のクィアとして、周縁化されたグループの経験に関心をもち続け、長いあいだ語られずにいた複数形の歴史(ヒストリーズ)を紐解くことを目指している。
【訳者略歴】
安藤貴子〈あんどう・たかこ〉
翻訳者。訳書に『セックスロボットと人造肉――テクノロジーは性、食、生、死を“征服”できるか』、『「インターネットの敵」とは誰か?――サイバー犯罪の40年史と倫理なきウェブの未来』などがある。