柏書房株式会社KASHIWA SHOBO

近刊

深海の地図をつくる 五大洋の底をめぐる命がけの競争

欲望渦巻く海底に、受賞歴のあるジャーナリストが迫る。私たちの足元で起きていることすべてがわかる、壮大な海洋ノンフィクション!

定価
2,970円(本体 2,700円)
刊行
2025/09/24
ISBN
9784760156467
判型
四六判
ページ数
440

内容・目次

内容

海は、探検と収奪に満ちている――! 


★『サイエンス・ニュース』2023年ベストブック


★『グローブ・アンド・メール』2023年ベストノンフィクション


★「必読の書。[…]すべてが非常に読みやすく、そして深く不吉な内容だ。」
――サイモン・ウィンチェスター、『世界を変えた地図』著者(『ニューヨーク・タイムズ・ブックレビュー』より)


★「魅惑的な海の物語。息をのむ冒険、ハイリスクの探検、政治的陰謀が詰まっている。トレザウェイは私たちを海の底へと導き、なぜそこがそれほど重要かを巧みに示している。」
――ヘレン・スケールズ、『深海学』著者


【概要】
地球の表面積の約70%を覆っている海。その海底に目を向けると、2020年代初頭までに4分の1程度しかマッピングされておらず、ほとんどが海岸線近くの浅い海に偏っている。海底の4分の3は、未調査のままなのだ。


“一般的な世界地図は、この地球がすべてマッピングされているという印象を与えがちだ。私は子どものとき地球儀を見ながら、北アメリカのロッキー山脈やアジアのヒマラヤ山脈を表す出っ張りを指でなぞっていたのを覚えている。一方の海はというと、すべすべで何もない青色で示されていた。あの頃は、陸の激しい凹凸が海との境界で終わっていることに何の違和感もなかった。あの滑らかな面は水を表していると、当時の私は思っていたのだろうか? おそらく、何も考えていなかったのだろう。だが、陸の地形の隆起や沈降の激しさが海面下でも続いているはずだということは、今の私にははっきりとわかる。”(第一章 深海を目指す探検)


そして現在、2030年までに「全世界を網羅する完全な海底地形図」を作成するという壮大なプロジェクトが進んでいる。


五大洋の最深部を目指す探検家、北極圏の空白を埋めるイヌイットの猟師、メキシコ湾で潜水する考古学者、大量の水上ドローン、地形の命名と領土問題、情報を秘匿する国家、企業の採掘に抗う活動家たち……


本書は、欲望渦巻く現場に、受賞歴のある環境・海洋ジャーナリストが迫った一冊だ。


“私がノーチラス号でレナート・ケインの横に座っていたときに、はっきりとわかった真実が一つある。それは、地球の海底地形図は、完成させようと思えば今すぐにでも可能だということだ。それどころか、私たちは完成させるためのツールや技術を、すでに何十年も前に手に入れていた。では、なぜ完成していないのか?”(序章)


今、私たちの足元で起きていることすべてがわかる、壮大な海洋ノンフィクション! 


※本書はThe Deepest Map: The High-Stakes Race to Chart the World’s Oceans by Laura Tretheweyの日本語訳である。


【著者略歴】
ローラ・トレザウェイ〈Laura Trethewey〉
受賞歴もある環境・海洋ジャーナリストで、著作にThe Imperiled Ocean: Human Stories from a Changing Sea(『危険にさらされている海洋――変化する海での人間の物語』)がある。2020年、カナダ・ライターズ・トラスト新人賞を受賞。これまで『ウォール・ストリート・ジャーナル』『スミソニアン』『クーリエ・アンテルナショナル』『ガーディアン』『ウォルラス』『アトランティック』『グローブ・アンド・メール』『ハカイマガジン』『カナディアン・ジオグラフィック』で特集記事などの掲載歴があり、全国のマスメディアから多くの依頼が寄せられている。また、カナダのバンクーバー水族館のライター兼編集者を務めていた経験もある。文芸創作(クリエイティブ・ライティング)の分野で、ブリティッシュコロンビア大学芸術修士号を取得。現在はオンタリオ州のシェリダン・カレッジで、クリエイティブ・ノンフィクションを教えている。


【訳者略歴】
尼丁千津子〈あまちょう・ちづこ〉
英語翻訳者。神戸大学理学部数学科卒業。主な訳書に『「ユーザーフレンドリー」全史――世界と人間を変えてきた「使いやすいモノ」の法則』、『教養としてのAI講義 ビジネスパーソンも知っておくべき「人工知能」の基礎知識』、『馬のこころ――脳科学者が解説するコミュニケーションガイド』『マッキンゼー CEOエクセレンス――一流経営者の要件』、『限られた時間を超える方法』など。


目次

序章
第一章 深海を目指す探検
第二章 船を探す
第三章 大西洋の最深部を目指して
第四章 マリー・サープ、そして世界を変えた地図の話
第五章 地球上で最も孤独な海
第六章 海底を命名して権利を主張するには
第七章 北極海の地図をクラウドソーシングする
第八章 海のロボット革命
第九章 埋もれた歴史
第一〇章 深海底を掘る
第一一章 深海底へ、そしてその先へ
終章


原注
推薦図書