月は誰のもの? 南極、海洋、アフリカの前例に学ぶ
軍事的・経済的に注目の的である宇宙を、平和的に管理することは可能か?「共有地の悲劇」を回避するために、3つの前例をひもとく!
- 定価
- 2,530円(本体 2,300円)
- 刊行
- 2025/05/22
- ISBN
- 9784760156290
- 判型
- 四六判
- ページ数
- 231
- ジャンル
- 政治・経済・社会・教育・民族

内容・目次
内容
民間企業や国家がこぞって参戦する「宇宙開発」――
軍事的にも経済的にも注目の的であるその場所を、
独占や紛争から守り、平和的に管理することは可能か?
「共有地(コモンズ)の悲劇」を回避するために、
著名な哲学者が参照すべき「3つの前例」をひもとく!
南極、海洋、アフリカの歴史に学び、
「人類の共同の利益」を守るための議論の土台をつくる一冊。
“この本が最初に出版されたとき、大きな関心を呼んだことは注目に値する。唯一の否定的な反応は、宇宙産業の関係者からのものであり、彼らは条約やルールに縛られない自由な活動を望み、規制には後ろ向きだ。そのこと自体が警告であり、本書の主張を裏づけるものである。[…]本書は、宇宙技術や宇宙飛行、月の地質や技術工学的な問題に関する本ではない。地球の大気圏外での人類の活動について、国際合意の枠組みが必要なことを明確に示した本である。また、同様のニーズを満たすための取り組みがいかに難しいか、それが明らかになった最近の事例を関連づけて考察した本でもある。そうした事例から教訓を得て、各国政府やほかのすべての関係者に対して未来に向けた理性的な思慮を促し、宇宙活動を規制するという問題について世界の議論を促すことに貢献できれば、本書の目的は達成されたと言えるだろう。”(「新版刊行にあたって」より)
※本書はWHO OWNS THE MOON?: In Defence of Humanity’s Common Interests in Space by A. C. Graylingの日本語訳である。
【著者略歴】
A.C. グレイリング〈A. C. Grayling〉
ノースイースタン大学ロンドン校ニューカレッジ・オブ・ザ・ヒューマニティーズの創設者兼校長であり、哲学教授でもある。『タイムズ』『ガーディアン』『フィナンシャル・タイムズ』『サンデー・インデペンデント』『エコノミスト』『ニュー・ステーツマン』『プロスペクト』『ニュー・ヨーロピアン』に定期的に寄稿し、BBCのトゥデイやニュースナイト、CNNニュースなど、ラジオやテレビにも出演している。ロンドン在住。著書は多数あり、邦訳書には『大空襲と原爆は本当に必要だったのか』(河出書房新社)、『考える快楽――グレイリング先生の哲学講義』(NHK出版)、『ウィトゲンシュタイン』(講談社)がある。
【訳者略歴】
道本美穂〈みちもと・みほ〉
英語翻訳者。東京大学文学部社会学科卒業。大手通信会社勤務を経て独立。訳書に『家父長制の起源――男たちはいかにして支配者になったのか』(集英社)、『地獄への潜入――白人至上主義者たちのダーク・ウェブカルチャー』(柏書房)、『失われた報道の自由』(日経BP)、『告発――フェイスブックを揺るがした巨大スキャンダル』(共訳、ハーパーコリンズ・ジャパン)などがある。
目次
謝辞
新版刊行にあたって
序文
はじめに――前例をもとに社会全体で議論しよう
第1章 「グローバル・コモンズ」と人類の財産
第2章 南極大陸を守るための取り組み
第3章 公海と深海を守るための取り組み
第4章 アフリカ争奪戦
第5章 宇宙条約は十分と言えるのか
結論――これから何が起きるのか、私たちに何ができるのか
付録1 宇宙条約(1967年発効)
付録2 南極条約(1961年発効)
付録3 海洋法に関する国際連合条約(1982年採択)抜粋
参考文献
原注
索引