柏書房株式会社KASHIWA SHOBO

酒が薬で、薬が酒で ビール、ワイン、蒸留酒が紡ぐ医学史

古代から現代まで、‶二人三脚〟で進化してきた、酒と薬のめくるめく関係――毒にも薬にもなる、アルコールと医術の切っても切れない歴史!

定価
2,970円(本体 2,700円)
刊行
2023/10/24
ISBN
9784760155415
判型
四六判
ページ数
358
ジャンル
歴史・地理

内容・目次

内容

「酒は百薬の長、されど万病の元」ともいうように、古来より洋の東西を問わず、酒と薬の関係には切っても切れないものがあり、互いに発展を遂げてきた。
 古代エジプトでビールは生水より清潔な栄養ドリンクだったし、科学の原型ともいうべき錬金術師たちは万能薬「命の水(オードヴィー)」を求めて様々な蒸留酒を生み出した。その技術を受け継いだ化学者たちによるアルコールの研究は、医学、微生物学、生化学など多くの分野での発見につながり、人々の健康に貢献している。ほかにも、熱帯の人々を苦しめるマラリアの治療薬とジン・トニックの関係、禁酒法下のアメリカにおける酒と薬の関係等、その歴史を繙くと見えてくるのは、まさに酒が薬であり、薬が酒であったという事実なのである。


「薬としての酒」という視点から、アルコールと医術が織りなす人類史の変遷を広範な資料と調査に基づいて読み解いていく、新鮮かつ刺激的な一冊。エピソードに合わせて72のカクテル・レシピも紹介、お気に入りの一杯を片手に、めくるめくような物語に酔いしれてみてはいかがしょう?


※本書は以下の日本語訳である。Camper English, DOCTORS AND DISTILLERS:The Remarkable Medicinal History of Beer, Wine, Spirits, and Cocktails (Penguin Books, 2022)


【著者紹介】
キャンパー・イングリッシュ(Camper English)
作家。カクテルに関する執筆や講演を中心に活動しており、伝統を再興するクラフトカクテルについて、15年以上にわたって取り上げてきた。『ポピュラーサイエンス』、『ドリンクス・インターナショナル』、『ウイスキー・アドヴォケイト(Whisky ADVOCATE)』など、世界の50を超える媒体に寄稿。「ミクソロジー(カクテルづくり)」においてこだわりを追求し、炭酸化の歴史から透明な氷づくりの科学まで、あらゆることを調べてきた。全仏コニャック専門職事務局の国際コニャック・ライター・オヴ・ザ・イヤー、テイルズ・オブ・ザ・カクテル財団のSpirited Awardsでベスト・カクテル・ライターをそれぞれ受賞。世界の飲料業界でもっとも影響力のある100人のひとりに、たびたび選出されている。サンフランシスコ在住。


【訳者紹介】
海野 桂(うみの・かつら)
東京外国語大学卒業。訳書に、ヨースト・カイザー『レオナルド・パラドックス―ダ・ヴィンチノートから見える言葉とイメージの交わり』(ビジネス教育出版社)、ジョアン・ハリファックス『Compassion―状況にのみこまれずに、本当に必要な変容を導く、「共にいる」力』(英治出版)、ジェロ・ジーレンス『レトロ家電デザイン ’60s~’80sのライフスタイルをのぞく』(グラフィック社)、『マッキンダーの地政学講義 ユーラシア覇権の歴史力学編』(経営科学出版)他。


目次

はじめに
第一章 発酵と医学――ギリシアのワイン、ローマの薬、健康的なビール
第二章 錬金術と第五元素(クインテッセンス)――「命の水」を生み出す蒸留術
第三章 修道士と醸造――修道院が生んだリキュール、瘴気に満ちた中世
第四章 科学と酒――プリーストリーと炭酸、パスツールと酵母菌
第五章 苦さと甘さ――アペリティフ、アブサン、アマーロの〝実用性〟
第六章 蒸留酒と健康――ブドウ、穀物、サトウキビ、アガベの薬効
第七章 毒と薬――「純正食品法」「禁酒法」、そして密造酒
第八章 マラリアとジン・トニック――感染症と合成染料の意外な関係
第九章 カクテルと現代医学――ミクスト・ドリンクの現在・過去・未来


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