柏書房株式会社KASHIWA SHOBO

横溝正史エッセイコレクション1 探偵小説五十年 探偵小説昔話

戦前の探偵小説界の息吹を伝え、多彩な創作活動を回顧する随想&ドキュメント。本格ミステリ作家としての溢れ出る誇りと情熱の全貌!

定価
6,600円(本体 6,000円)
刊行
2022/05/24
ISBN
9784760154456
判型
四六判
ページ数

内容・目次

内容

「五十年といえば半世紀、思えばずいぶん長いあいだ、この道ひと筋に生きてきたものである」――神戸からの上京、伝説の雑誌「新青年」編集長時代、そして作家としての多彩な活躍にいたるまで! 自伝的随想「途切れ途切れの記(正・続)」や江戸川乱歩からの書簡を収める『探偵小説五十年』、乱歩・森下雨村・小栗虫太郎らミステリ仲間との交流や自身の創作活動の回顧や、戦後間もなくの執筆活動と生活を記録する「桜日記」収録の『探偵小説昔話』。探偵小説にかける熱き想い、「同志」たちとの切磋琢磨、そして自らの人生回顧――日本ミステリ界不滅の巨匠による貴重なドキュメント!


【著者紹介】
横溝正史(よこみぞ・せいし)
1902年生まれ、81年没。大正期より執筆活動を始め、雑誌「新青年」編集長として江戸川乱歩に名作『陰獣』を発表させるなど編集者としても活躍。戦後『本陣殺人事件』『蝶々殺人事件』を発表、前者で第1回探偵作家クラブ賞(現・日本推理作家協会賞)を受賞、以後『八つ墓村』『犬神家の一族』など、金田一耕助を主人公とする傑作群で探偵小説界の第一人者としての地位を不動のものに。70年代の角川文庫によるリバイバルと金田一シリーズの映画化によって大ブームとなり、最晩年には傑作『悪霊島』を発表、生涯現役を貫いた。作品は以後も読み継がれ、新たな映像作品化も数多い。


【編者紹介】
日下三蔵(くさか・さんぞう)
SF・ミステリ評論家、アンソロジストとして精力的に活動。小松左京作品、連城三紀彦作品などのアンソロジーの他、『海野十三コレクション』(創元推理文庫)、今日泊亜蘭『最終戦争/空族館』(ちくま文庫)、『筒井康隆コレクション』(出版芸術社)、『皆川博子コレクション』(出版芸術社)『ミステリ珍本全集』(戎光祥出版)『横田順彌明治小説コレクション』『皆川博子長篇推理コレクション』(柏書房)など一連の「隠れた名作」の発掘で高い評価を得ている。


目次

探偵小説五十年

途切れ途切れの記

1 三津木春影のこと/2 西田兄弟のこと/3『新青年』創刊のこと/4 森下雨村先生のこと/5 江戸川乱歩さんのこと/6 博文館入社のこと/7 喀血で狼狽のこと/8 愉しかりし『新青年』時代のこと/9 再び川口松太郎君のこと/10 終戦の詔勅で、「さあ、これからだ……」


続・途切れ途切れの記

1 昭和十年ごろのこと/2 上諏訪時代のこと/3 今は昔の物語のこと/4 神沢太郎先生のこと/5 不知火捕物双紙のこと/6 人形佐七誕生のこと/7 花柳界のど真中に住むこと/8 とどろく足音のこと/9 中島飛行機工場空襲のこと/10 高梁川の蓮華タンポポのこと/11 海野十三氏と日文矢文のこと/


読み本仕立て

文章修業 

「二重面相」江戸川乱歩

代作ざんげ

海野十三氏の処女作

惜春賦――渡辺温君の想い出――

浜尾さんの思い出

乱歩書簡集

青年角田喜久雄君

片隅の楽園

探偵小説への饑餓

「本陣」「蝶々」の頃のこと

獄門島――作者の言葉――

わが小説――獄門島――

田園日記

田舎者東京を歩かず

断膓記――海野十三氏追悼――

思ひつくまゝ

十風庵鬼語

幸福とは

私の乗物恐怖症歴

歩き・歩き・歩く

「悪魔の手毬唄」楽屋話

谷崎先生と日本探偵小説

文殻を焚く

日々これ物憂き

白浪始末記

 還暦の春や春

賤しき読書家

ものぐさ記

もうかりまっか氏

古きよき時代の親分――森下雨村の追悼

木々高太郎氏追悼

作者の幸福

私の推理小説雑感


付録 回想

神戸時代の横溝君と私 西田政治/大阪薬専時代の横溝 平吉廣州/畦道の鬼 横溝亮一/正史さんと私 松江春江/諏訪時代の横溝さん 神沢太郎/若き日の思い出 楠田佐太郎/思い出のこと 佐野 英/少年時代の作者 吉川秀雄/色のある夢 福井久吉


探偵小説昔話


探偵小説昔話

1 森下雨村と「樽」/2 乱歩と稚児の草紙/3 甲賀三郎と電話/4 大下宇陀児と青酸加里/5 海野十三と敗戦日記/6 浜尾四郎と春本/7 小栗虫太郎とピンチヒッター/8 木々高太郎と人生二回結婚説/9 一杯亭主人の憂うつ


続槿槿先生夢物語

探偵小説闇黒時代

あとがき集

真言秘密の自分の道楽

大阪の友人 藤沢桓夫君

まあちゃんのお婿さん

誤植奇談

屍体を匿(かく)す

エラリー・クィーン氏、雑誌「探偵小説」の廃刊を三ヵ月おくらせること

余暇善用

山荘無精記

ノンキな話

初対面の乱歩さん

西田さんご兄弟のこと

好敵手甲賀・大下

不如丘と不木

啓蟄記

傷ましき母

本格探偵小説への転機「本陣殺人事件」の前後

四半世紀ゆめうつつ

私の衆道趣味

蟇とともに

金硫黄奇談

ご趣向本意

しかも私は飲む

一杯亭綺言

むささび悲歌

「国定忠治」の思い出

年寄りの冷や水

探偵作家の歎き

黒岩涙香を読む

山荘愚談

贋作楢山節考

淋しさの極みに立ちて――「かいやぐら物語」の思い出――

鬼の大罪

お目出度き男

わが町・わが本

八つ当りの記

しずごころなく

「パノラマ島奇譚」と「陰獣」が出来る話

桜日記

「桜日記」に寄せて