柏書房株式会社KASHIWA SHOBO

ファミリア・グランデ

性虐待される弟を、見ていることしかできなかった私。30年の時を経てようやく語られる苦悩。仏32万部の衝撃。信田さよ子氏推薦。

定価
2,420円(本体 2,200円)
刊行
2022/03/24
ISBN
9784760154418
判型
四六判
ページ数
230

内容・目次

内容

加害者告発に加え、否認した母と傍観者だった自分も性虐待に加担していたという自責から書かれた本は他に類を見ない。まさに震撼の書である。――信田さよ子


本書の内容
30年前、わたしの双子の弟を性虐待したのは、誰もが敬うエリート学者の「継父」だった。そして、現実から目を背け、わたしたち姉弟を糾弾したのは、誰よりも自由と解放を重んじたはずのフェミニストの闘士、母だった――。


1980~90年代、自由礼賛の名の下に、左派インテリの両親はわが子の人生を支配した。「継父」による加害が発覚したあとも、周囲の大人たちは(ひとりを除き)目をつぶり、告発しないことを選んだ。その共謀の過程で、子どもたちは名ばかりの同意と沈黙を強いられてきたのである。


著者は、傍観者としての、小さな加担者としての罪悪感を見つめ直し、苦悩の記憶を掘り起こしながら、文学的努力を払い、その経験を言語化する。


実父は「国境なき医師団」創設者のひとり、叔母はトリュフォー監督も認めた有名女優、母も継父も著名な言論人ということもあり、2021年1月の原書出版時にはフランス中に激震が走った。本が出版された1週間後には、「#MeTooInceste」というハッシュタグで8万件ものツイートが流れ、マクロン大統領が「子どもに対する性犯罪」の対応に関して声明を発するまでに至ったという。


本書は、被害がなかったことにされる構造と、沈黙にともなう罪悪感をありありと表現した一冊だ。フランスで32万部突破、海外版権15か国の話題作、ついに邦訳。


邦訳前の反響
・「『自由の闘士は毒親だった』 娘の性虐待告発本が仏でベストセラー」『産経新聞』(2021/2/2)
・「(文芸時評)傷ついた者のため 沈黙にあらがう声、文学に響く 小野正嗣」『朝日新聞』(2021/2/24)
・「フランス名門一族で起きていた“近親姦”──『蛇はずっと家族の中に潜んでいた』」『クーリエ・ジャポン』(2021/3/9)
他、『朝日新聞GLOBE+』(2021/3/7)、『新文化』(2021/3/18)で原書が紹介されている。


著者プロフィール
カミーユ・クシュネル〈Camille Kouchner〉
1975年生まれ。私法を専門とする大学准教授。本書が初の著書となる。


訳者プロフィール
土居佳代子〈どい・かよこ〉
翻訳家。青山学院大学文学部卒。訳書に、アントワーヌ・レリス『ぼくは君たちを憎まないことにした』(ポプラ社)、ベルナール・ミニエ『氷結』(ハーパーBOOKS)、エマニュエル・ド ヴァレスキエル『マリー・アントワネットの最期の日々』(原書房)など。


目次

訳者まえがきⅠ