柏書房株式会社KASHIWA SHOBO

カンマの女王 「ニューヨーカー」校正係のここだけの話

『ニューヨーカー』の校正者“カンマの女王”がつづる、細かくてユーモラスな校正エッセイ!

定価
2,200円(本体 2,000円)
刊行
2020/12/24
ISBN
9784760152599
判型
四六判
ページ数
288

内容・目次

内容

「自分の仕事で好きなのは、人となりのすべてが求められるところである。文法、句読法、語法、外国語、文学の知識だけでなく、さまざまな経験、たとえば旅行、ガーデニング、船、歌、配管修理、カトリック信仰、中西部、モッツァレラ、電車のゲーム、ニュジャージーが生きてくる」(序章より)


 


★推薦文★


鉛筆と紙の辞書を愛し、校正が「出過ぎた真似」といわれるのを恐れている“女王”。他人とは思えない。


──牟田 都子(校正者)


 ◆


正しい英語とは何だろう? 
カンマの思想とは? 
鬼校正者はどこを見る?
今、英語の「揺らぎ」があなたを魅了する。


──阿部 公彦(英米文学者)


★概要★


誤字・脱字や言葉の誤用を正す「校正」。ベテラン校正者の眼を通じて見るそれは、規則と心情とのあいだで揺れ動く、意外なほど人間らしい仕事だった! 
アメリカの老舗雑誌『THE NEW YORKER』の校正担当者で、“Comma Queen“〈カンマの女王〉の異名をもつ著者が、その半生と、校正の現場で遭遇したミスや「揺れ」を振り返る──。“between You and I”のようなネイティブでも間違える文法や語法、ディケンズ、メルヴィル、ディキンソンら著名作家たちが操る記号──カンマやダッシュ、コロン──の独特な使い方、クセが強い校正者たちのエピソード、トランスジェンダーのきょうだいを呼ぶときの代名詞etc…。「正しい英文法」だけでは白黒つけられない、迷いと葛藤の日々を描く唯一無二の校正エッセイ!


読書案内、索引あり。
(書影はこちらからダウンロードしてください。)


 


■内容


序章 カンマの女王の告白
〈足確認係からミルクウーマンへ/酪農人からニューヨーカーへ/すべての経験が生きる仕事〉


1章 スペリングは変人のもの
〈『WebⅡ』と『Web 3』の聖なる序列―辞書の話/どうしてゼッドがズィーなのか―綴りと発音/centreをcenterに―アメリカ式スペリング/変人の聖地へ―メリアム・ウェブスター社/初めて拾った日―ゲラ読み宙に舞う〉


2章 どっちが魔女(ウィッチ)なんだか
〈ゲラ上のプロポーズ―著者への指摘出し/制限なんか嫌いだ―関係代名詞のthatとwhich すべてがここに集う―集約部/たぐい稀なるジョン・マクフィー―出すぎた鉛筆/魔法使いジョージ・ソーンダーズ―ぶらさがり分詞〉


3章 彼と彼女のむずかしい問題
〈さようなら、スチュワーデス―女性形の職業名/ペニスはheで受けるのか―代名詞の性/数と性はどちらが大事?―単数のthey 弟が妹になるということ〉


4章 屈折してるね、あなたとわたし
〈車はどうして動くのか―言語の構造/あなたとわたしの過ち―between you and me Iはmeのフォーマル版?―屈折変化/誰がために mはある―whoとwhom〉


5章 カンマは気まぐれ
〈J・F・ケネディはストリッパー?―シリアル・カンマ/プレゼントにわたしを買った―ディケンズのカンマ/立ち上がるための時間―メルヴィルのカンマ/何度も死なないために―『ニューヨーカー』の細かなカンマ/形容詞にスピンをかける―ジェームズ・ソルターのカンマ/若気の至りは文末に―イアン・マキューアンのカンマ〉


6章 『Moby-Dick〈白鯨〉』にハイフンを入れたのは誰?
〈バンパーとレジ係には要警戒―分けるハイフン/辞書に振り回される―?ぐハイフン/カンマ・クイーンとミスター・ハイフン―芸術的ハイフン/『Moby-Dick〈白鯨〉』にハイフンを入れたのは誰?〉


7章 ダッシュ、セミコロン、コロンがバーに入ると
〈しかるべき長さ―エムダッシュ、エヌダッシュ/この曖昧なもの―ディキンソンのダッシュ/お高くとまったお方―ヘンリー・ジェイムズのセミコロン/折り目正しい執事―ケレファ・サナのコロン〉


8章 アポストロフィの浮き沈み
〈自然の浸食作用/アポストロフィ保護協会/八百屋は面白い〉


9章 使うなら * 正しく使おう * Fワード
〈押さえつけるとむしろ ******/ラッパーを校正すると******/遠回しに言うとかえって ******〉


10章 鉛筆狂のバラード
〈いちばんの鉛筆を求めて/すべての鉛筆はサンドウィッチである/区切りをつける/いざ鉛筆削り博物館へ〉


終章 百万ドルの校正者
〈百万ドルの校正者/図書館/カンマ、宙に舞う〉


謝辞
引用箇所
読書案内
校正という、人間の仕事―訳者あとがき
索引


 


■著者略歴


メアリ・ノリス Mary Norris
1978年から『ニューヨーカー』誌で働く校正 者。オハイオ州クリーヴランド出身、現在は ニューヨークに住んでいる。本書がデビュー 作で、2作目のGreek to Me: Adventures of the Comma Queen(W. W. Norton, 2019)も出版されている。


 


■訳者略歴
有好宏文 ありよし・ひろふみ
1987年北海道旭川市生まれ。京都大学文学 部卒、読売新聞記者をへて、早稲田大学文学 研究科修了。訳書に、ニコルソン・ベイカー 『U&I』(白水社)。


デザイン:髙井愛


◆お詫びと訂正
本書において、正誤表のとおり誤りがありました。
訂正してお詫び申し上げます。
[2021年1月21日更新]


目次

■内容


序章 カンマの女王の告白

〈足確認係からミルクウーマンへ/酪農人からニューヨーカーへ/すべての経験が生きる仕事〉


1章 スペリングは変人のもの

〈『WebⅡ』と『Web 3』の聖なる序列―辞書の話/どうしてゼッドがズィーなのか―綴りと発音/centreをcenterに―アメリカ式スペリング/変人の聖地へ―メリアム・ウェブスター社/初めて拾った日―ゲラ読み宙に舞う〉


2章 どっちが魔女(ウィッチ)なんだか

〈ゲラ上のプロポーズ―著者への指摘出し/制限なんか嫌いだ―関係代名詞のthatとwhich すべてがここに集う―集約部/たぐい稀なるジョン・マクフィー―出すぎた鉛筆/魔法使いジョージ・ソーンダーズ―ぶらさがり分詞〉


3章 彼と彼女のむずかしい問題

〈さようなら、スチュワーデス―女性形の職業名/ペニスはheで受けるのか―代名詞の性/数と性はどちらが大事?―単数のthey 弟が妹になるということ〉


4章 屈折してるね、あなたとわたし

〈車はどうして動くのか―言語の構造/あなたとわたしの過ち―between you and me Iはmeのフォーマル版?―屈折変化/誰がために mはある―whoとwhom〉


5章 カンマは気まぐれ

〈J・F・ケネディはストリッパー?―シリアル・カンマ/プレゼントにわたしを買った―ディケンズのカンマ/立ち上がるための時間―メルヴィルのカンマ/何度も死なないために―『ニューヨーカー』の細かなカンマ/形容詞にスピンをかける―ジェームズ・ソルターのカンマ/若気の至りは文末に―イアン・マキューアンのカンマ〉


6章 『Moby-Dick〈白鯨〉』にハイフンを入れたのは誰?

〈バンパーとレジ係には要警戒―分けるハイフン/辞書に振り回される―?ぐハイフン/カンマ・クイーンとミスター・ハイフン―芸術的ハイフン/『Moby-Dick〈白鯨〉』にハイフンを入れたのは誰?〉


7章 ダッシュ、セミコロン、コロンがバーに入ると

〈しかるべき長さ―エムダッシュ、エヌダッシュ/この曖昧なもの―ディキンソンのダッシュ/お高くとまったお方―ヘンリー・ジェイムズのセミコロン/折り目正しい執事―ケレファ・サナのコロン〉


8章 アポストロフィの浮き沈み

〈自然の浸食作用/アポストロフィ保護協会/八百屋は面白い〉


9章 使うなら * 正しく使おう * Fワード

〈押さえつけるとむしろ ******/ラッパーを校正すると******/遠回しに言うとかえって ******〉


10章 鉛筆狂のバラード

〈いちばんの鉛筆を求めて/すべての鉛筆はサンドウィッチである/区切りをつける/いざ鉛筆削り博物館へ〉


終章 百万ドルの校正者

〈百万ドルの校正者/図書館/カンマ、宙に舞う〉


謝辞

引用箇所

読書案内

校正という、人間の仕事―訳者あとがき

索引


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