柏書房株式会社KASHIWA SHOBO

中世共同体論 ヨーロッパ社会の都市・共同体・ユダヤ人

ユダヤ人共同体はヨーロッパ共同体文化の主要な構成要素だった―中世ヨーロッパ史像に全面的転換を迫る、新しい共生の社会史。

定価
7,480円(本体 6,800円)
刊行
2018/05/25
ISBN
9784760149407
判型
四六判
ページ数
ジャンル
歴史・地理

内容・目次

内容

ユダヤ人共同体はヨーロッパ共同体文化の主要な構成要素だった――中世社会の本質に“宗教性”を見出す視座から、従来の中世ヨーロッパ史像に全面的転換を迫る、まったく新しい“共生の社会史”。長年にわたりドイツ中世史研究を牽引してきた著者の主要論文7本を厳選紹介。日本オリジナル編集版。


【著者紹介】
アルフレート・ハーファーカンプ Alfred Haverkamp


トリーア大学名誉教授、アリエ・マイモン・ユダヤ人史研究所所長。1937年ホルドルフ生。Dr. phil.(ミュンヒェン大学)。ザールブリュッケン大学助手を経て、1970年から2005年までトリーア大学中世史教授、1996年から現在に至るまでアリエ・マイモン・ユダヤ人史研究所所長。ユダヤ人史を中心に中世都市社会史を長年にわたり牽引し、ドイツ連邦功労十字賞、ラインラント・プファルツ州学士院賞、イェルサレム・ヘブライ大学名誉博士号を受ける。


【編訳者紹介】
大貫俊夫(おおぬき としお)


岡山大学大学院社会文化科学研究科准教授。1978年栃木県生。トリーア大学第三専門分野博士課程修了(Dr. phil.)。東京大学大学院人文社会系研究科単位取得退学。
主要業績:「オットー朝期の帝国司教とロタリンギエン——オットー1世期ヴェルダン司教座の分析を通して」『史学雑誌』115-12(2006年)、「中世盛期におけるシトー会修道院の保護形態」『法制史研究』62(2013年)、「盛期中世におけるシトー会修道院の小教区=農村共同体形成への関与に関する研究」『西洋史研究』44(2015年)他。


江川由布子(えがわ ゆうこ)


帝京平成大学現代ライフ学部観光経営学科教授。1963年埼玉県生。トリーア大学第三専門分野博士課程修了 (Dr. phil.)。
主要業績:Stadtherrschaft und Gemeinde in Straßburg vom Beginn des 13. Jahrhunderts bis zum Schwarzen Tod (1349), Trier 2007、「中世シュトラースブルクにおける大聖堂と都市共同体」『比較都市史研究』23-2(2004年)、「ドイツ学界における西欧中世共同体論の動向に関する一考察——都市ゲマインデ研究の新たな地平を探って——」『比較都市史研究』29-2(2010年)他。


北嶋裕(きたじま ゆたか)


国際基督教大学アジア文化研究所研究員。1965年東京生。トリーア大学第三専門分野博士課程修了 (Dr. phil.)。
主要業績:著書Wein in städtischen Gesellschaften des Spätmittelalters. Aufschlüsse aus den Hildesheimer Stadtrechnungen, Trier 2017、『ジョージアのクヴェヴリワインと食文化』(共著、誠文堂新光社、2017年)他。


【共訳者紹介】
井上周平(いのうえ しゅうへい)


立教大学・獨協大学・関東学院大学他非常勤講師。1978年秋田県生。東京大学大学院総合文化研究科単位取得退学。
主要業績:Medizinpolitik und Heilkundige in den Pestzeiten der Frühen Neuzeit, in: C. Ch. Wahrmann u.a. (Hg.), Seuche und Mensch: Herausforderung in den Jahrhunderten Berlin 2012、A・ベルナルト『金持ちは、なぜ高いところに住むのか——近代都市はエレベーターがつくった』(共訳、柏書房、2016年)他。


古川誠之(ふるかわ まさゆき)


早稲田大学社会科学総合学術院非常勤講師。1974年青森県生。早稲田大学大学院文学研究科単位取得退学。
主要業績:Flee or be removed: persecutions of the Jews in late medieval Germany, in: S?yang Chungsesa Y?ngu (Journal of Western Medieval History) 26 (2010)、「中世ドイツ都市印章研究と「都市の表象」」『西洋中世研究』2(2010年)、「聖なるコミュニティ:中世都市の表象とドイツ中世都市共同体論」『比較都市史研究』30-2(2011年)、「歴史的都市と公共性:「具現的公共性」の宗教的基盤をめぐって」『比較都市史研究』33-2(2014年)他。


目次

序文(アルフレート・ハーファーカンプ)

第Ⅰ部 中世都市論の展開

 第1章 中世盛期・後期における「初期市民的」世界――地域史と都市社会の歴史

 第2章 盛期中世の「聖なる都市」


第Ⅱ部 共同体の諸形態と宗教性・公共性

 第1章 共同体における生活――12世紀における新旧の諸形態

 第2章 「大鐘を鳴らして知らしめる」――中世の公共性について

 第3章 12、13世紀における兄弟会とゲマインデ


第Ⅲ部 キリスト教社会とユダヤ人共同体

 第1章 中世アシュケナジウム空間におけるキリスト教徒とユダヤ人の「共同市民制」

 第2章 1090年までのオットー=ザーリアー朝における司教とユダヤ人の諸関係


解説 継承と革新――アルフレート・ハーファーカンプの中世社会史研究(江川由布子)

訳者あとがき