柏書房株式会社KASHIWA SHOBO

消えたベラスケス

19世紀、ベラスケスの幻の名画を手に入れたイギリスの書店主。たった数ポンドのキャンバスが、男の人生をくるわせてゆく――。

定価
2,750円(本体 2,500円)
刊行
2018/01/10
ISBN
9784760149735
判型
四六判
ページ数
370

内容・目次

内容

「ラス・メニーナス(侍女たち)」で、見る者の心を魅了し続けてきたスペインの宮廷画家・ベラスケス。彼が活躍したその200年後、19世紀のイギリスで、ひょんなことからベラスケスの絵画を手にすることになった書店主、ジョン・スネア。たった数ポンドのキャンバスが、男の人生をくるわせてゆく――。
 絵のモデルとなる人々すべてに対等に接し、その本質を見抜く絵を描いた宮廷画家。その絵に魅せられたひとりの男。そして、21世紀に幻の絵画を探し求める著者……一枚の名画をめぐって三者の人生が交差する、歴史ノンフィクション。


「この本は、巨匠の中の巨匠ベラスケス──生み出した作品に劣らずとらえどころのない人生を送った男を称える書である。と同時に、彼の絵を愛したヴィクトリア朝時代の名もなき男の肖像でもある。私は、ジョン・スネアという人物を可能なかぎり闇から掘り起こした。なぜなら、私には彼が《ラス・メニーナス》に描かれた人物のひとり、窓際に立つ男の使用人のように思えるからだ。この名画に描かれた人々の中でただひとり、素性がまったくわからず、何ひとつ語られることのない人物。おぼろげに描かれた、今にも闇に消えてしまいそうなその男に、彼は似ているからだ」(本文より)


【著者紹介】
ローラ・カミング Laura Cumming


1961年生まれ。英国BBCワールドサービスの美術プロデューサー、「ニュー・ステイツマン」誌の美術担当などを経て、1999年から「オブザーバー」紙の美術批評を担当。父親は画家のジェイムズ・カミング。本書でジェイムズ・テイト・ブラック賞(伝記部門)を受賞した。主な著作に、A Face to the World: On Self-Portraits がある。


【訳者紹介】
五十嵐加奈子(いがらし・かなこ)


翻訳家。東京外国語大学卒業。主な訳書に『ピンポン外交の陰にいたスパイ』(柏書房)『365通のありがとう』『ダウントン・アビー 華麗なる英国貴族の館 シーズン1・2公式ガイド』(ともに早川書房)『レゴブロックの世界』『レゴ365のアイデア』(ともに東京書籍)などがある。


目次

第1章 ある発見 第2章 ある肖像画 

第3章 画家ベラスケス 

第4章 ミンスター・ストリート 

第5章 黒衣の男 

第6章 ロンドンでの評判 

第7章 等身大の姿 

第8章 攻撃 

第9章 人生の舞台 

第10章 押収された盗品 

第11章 裁判 

第12章 宮廷からの脱出 

第13章 ブロードウェイのベラスケス 

第14章 消える画家 

第15章 消失 

第16章 魔法の絵筆 

第17章 幻の絵 

第18章 無数のチャールズ 

第19章 失われた絵、発見された絵 

第20章 救出 


謝辞


〈解説〉姿を見せないベラスケス 

 大妻女子大学 貫井一美


訳者あとがき


原註

参考文献