天使の鐘

天使の鐘

18世紀、美しい歌声で人々を魅了した、 カストラート【去勢歌手】。 「天上の楽器」となる運命を負ったひとりの少年の物語。

著者 リチャード ハーヴェル
栗原 百代
北沢 あかね
ジャンル 一般書 > 単行本 > 外国文学、その他
出版年月日 2016/10/24
ISBN 9784760147533
判型・ページ数 4-6・476ページ
定価 本体2,400円+税
在庫 在庫あり

この本に関するお問い合わせ・感想


その身の上と才能のため、永遠の美声を保つことを強いられた、孤独な魂。歌声で共鳴し、引かれ合う唯一の相手。生き別れた彼女と舞台上、再び音で出会ったとき……闇より声を取り戻す、ある楽人の詠む叙事詩。

       ***
「ムジコというのはな」ニコライは言った。
「男じゃない男だ。天使にされた男なんだ」
       *
 ぼくは唇をきっちり丸くして息を吐いた。ぼくの耳には、その音は静まり返った劇場の中の疾風だった。肩が肺の上でぺしゃんこになるまで吐き出した。やがて、ぼくの巨大な肋骨が反発した。ぼくは口を大きく開いた。空気が喉から流れ込んだ。ぼくは縦にも横にも大きくなった。空気が肺にあふれ、肋骨のあいだの筋肉を引きちぎろうとした。ぼくは歌った。

 

《書店員さんからのメッセージも続々!》

ジュンク堂書店新潟店
文芸書担当 涌井様

美しい音や醜い音。幸福な音や哀しい音。
孤独な音や愛情に満ち足りた音。
いろんな音を奏でているこの物語を読んで、
実際には聞こえるはずのない旋律が、
ずっと耳元で奏でられているような、そんな感じがした。
まさに運命に翻弄される主人公のモーゼスには
手を差し伸べてあげたくなる場面がたくさんあり、
切なさで顔を覆いたくなった。
でも、そんな挫けそうなことになっても
モーゼスには母の鐘が心の中にしっかりあって、
母に見守られながら、鐘の音色とともに
なんとかひたむきに生きていく姿が
なんとも切なく輝いて見えた。

また、ニコライとレムスの二人が本当に神のような存在で、
ふたたび出会えたところでは思わず感嘆してしまう程
うれしかった。
この二人がいてくれて本当によかった、
神はまだこの少年に友まで取り上げることはしていなかった
と思い、わたしにはこの二人が明るい希望にみえた。

運命の重たさは凄まじい重たさではあるけれど、
彼の美しい声が運命の重たさを吹き飛ばすくらいの
軽やかさや神々しさを醸し出していて、
実に素敵なオペラを鑑賞させてもらったような
そんな物語でした。

* * * * * *

吉見書店 西谷友子様

音がすごくあふれていました。
母さんの鐘の音に始まり、モーゼスが歌うことを
禁じられていた時の蚊のテノール!
世界は音であふれている。
日常の喧噪に耳をふさぎたくなることもありますが、
素晴らしい「音」にまで耳をふさいでしまっているのではないか…と、
自然の音をもっと素直に聴いてみたいと思いました。

そして、モーゼス。
全身に血が噴き出るような傷を何ヵ所も負い、
けれど傷を負うたびに温かい毛布に包まれ…
(母さんやニコライはもちろん、あの修道院院長やウルリヒが
毛布になった時は、すごく驚き…驚いて…けれど複雑で胸が苦しくなりました。) 
ホッと胸をなでおろしたのもつかの間、また新たな傷を負い、
傷口がふさがらない内にまた傷を負い…
なぜ? なぜこんな試練を与えるのか、目が離せませんでした。
 
ウルリヒ。酷い、哀れな人です。
しかし、この時、私もウルリヒと一緒に、
「そうだよ、アマリアは生きてるんだもの。会えるんだよ。行かなくちゃ!」と、
心が逸って、そこからはノンストップで一気に読みました。

素晴らしい音や声に出会うと、鳥肌が立ったり、
お腹の底に響いたり、心がざわざわします。
この本は、音や声はもちろん、それに呼応する皮膚や体や
感情がすごく想像できて、一緒に、修道院の中での荘厳な声、
病室での少年の声、舞踏室での力強い男性ソプラノ…楽しめました。

そして、最後。(リトル)ニコライのためだけの特別な10分。
母さん、ニコライ、アマリア、いろんな人の顔が浮かんでしまって、
泣けてきました。

* * * * * *

パルコブックセンター吉祥寺店 木幡様

逃げ道がいくらでもある現代と違って、
境遇から逃れることの難しい時代にも、
モーゼスがニコライやレムズのような人と出会うことができたことに、
救いを感じました。

* * * * * *

東北大学生活協同組合・星陵店
小早川美希様

これはマイノリティの人たちの物語なのだと思います。

金銭的に恵まれない生活苦と、それ以上に
周囲から理解を得られない息苦しさを感じました。

孤独な彼らが出会うとき、
それは自分を理解してくれる人と巡りあう瞬間でした。
モーゼス、アマリア、ニコライ、レムス…
彼らの不幸は同じではないけれど、
分かち合うことはできるのです。
そんな彼らが寄り添って生きていこうとするのは、
悲しいことでもあり、尊いことでもある気がします。

最後まで読んだら、もう一度、
冒頭の「読者への口上」を読んでみてください。
ラストシーンから口上が書かれるまでの
決して短くない時間が、
そしてモーゼスの魂のこもった歌声が、
一瞬にして想像できるでしょう。

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