柏書房株式会社KASHIWA SHOBO

アメリカ合衆国 対日政策文書集成 第ⅩⅡ期 (全10巻) 日米外交防衛問題1968年

米国務省文書に見るベトナム戦争下の日米関係

定価
275,000円(本体 250,000円)
刊行
2003/05/01
ISBN
4760123547
判型
A4
ページ数
3,632

内容・目次

内容

米国国立公文書館では、いったん公開された文書に再チェックがかけられ、ふたたび非公開となったものも出始めている。もはや本シリーズでしか読めない文献がいくつも含まれている。また同文書館のこの時期の国務省文書は、複数の分類番号に属する文書の場合、オリジナル所蔵箇所以外のフォルダーには冒頭ページのコピーしか残されていない。本シリーズでは、オリジナル所蔵箇所にひとつひとつ当たり一括文書も含めたすべての文書を収録している。さらに、適切な解題と文書発行日付、文書番号、文書種類、発信元人名・機関名、発信先人名・機関名、会議参加者、内容を記した総目次のほかに、文書発行日付、文書番号、人名、機関名で検索可能なインデックス、また未公開文書が一覧できるリストを添付し、米国国立公文書館で文書を閲覧する以上の利便性を確保した。


1968年、テト攻勢をうけベトナム戦争は大きな曲がり角にさしかかった。反戦運動が盛り上がるなか、米国では大統領選挙が行われ、日本では原子力空母エンタープライズ初寄港をめぐり、全学連などによる入港阻止の反対運動が起きる。朝鮮半島では、米国の情報収集艦プエブロ号が北朝鮮に掌捕され、緊張が高まる。激動する内外の政治情勢に揺さぶられ、ラスク国務長官が日本の情勢について不満をぶちまけるなど、米政権中枢でもフラストレーションが高まっていたことが本書収録の文書から見てとれる。日本側もジョンソン大統領が年頭に発表したドル防衛や、輸入課徴金、繊維や鉄鋼についての経済摩擦について懸念を深める。
佐藤首相は緊張をはらんだ日米関係について広く話し合うため、鎌倉の別荘にジョンソン駐日大使を招き5時間にわたって密談。ベトナム戦争とポスト・ベトナムについて話し合った様子も本書は詳らかにしている。
沖縄では初の主席公選が行われ、革新共闘の屋良朝苗が当選、政府は前年にとりつけた「ここ両三年内に返還の時期を決める」という米国の約束のゆくえに思いをめぐらす。緊迫と不安に満ちた1968年の日米の政治経済情勢を収録文書は浮かび上がらせる。