柏書房株式会社KASHIWA SHOBO

歴史学のなかの南京大虐殺

南京大虐殺論争を題材に「記憶の戦争」のメカニズムを解明する

定価
2,750円(本体 2,500円)
刊行
2000/05/01
ISBN
4760119205
判型
四六判
ページ数
ジャンル
歴史・地理

内容・目次

内容

アイリス・チャンの『ザ・レイプ・オブ・南京』刊行以後再び語られはじめた南京大虐殺。しかし南京をめぐる言説は常に政治的な様相を呈し、日本・中国・アメリカの研究者間の意見対立は簡単に解消できそうにない。歴史記述がなんらかのイデオロギーと無縁ではありえないならば、歴史はいかにして描かれなければならないか? アメリカ在住の研究者がこのアポリアに挑戦する。


執筆者
チャールズ・メイアー(ハーヴァード大学教授)
ジョシュア・A・フォーゲル(カリフォルニア大学 サンタ・バーバラ校教
授)
マーク・アイコト(元マサチューセッツ工科大学教授)
吉田俊(メリー・マウント・マンハッタン大学ほか講師)
楊大慶(ジョージ・ワシントン大学教授)


目次

まえがき(チャールズ・S・メイアー)1章 序論――歴史のなかの南京大虐殺(ジョシュア・A・フォーゲル)

2章 侵略、加害および南京大虐殺にかかわる中国の歴史学(マーク・アイコト)

大虐殺の事実を信じる努力

舞台を設定した軍事裁判

戦後期における大虐殺の政治化

教科書改訂と激動の80年代

未完の研究と未解決の諸問題

結論

3章 歴史をめぐる闘い――南京大虐殺は日本でどう見られてきたか(吉田俊)

南京大虐殺の歴史学

1970年以前――進歩主義者の影響の推移/1970年代――「百人斬り競争」をめぐる闘い/1980年代――南京大虐殺に関する著作の急増/1990年代――古い問題、新しい戦略

彼らが闘う理由

結論――南京大虐殺の歴史と記憶の国際化

4章 南京大虐殺の課題――歴史研究についての考察(楊大慶)

方法論上の課題

証拠にかかわる諸問題/立証責任/修正主義はいずこへ?

政治上および道徳上の課題

加害者と被害者/属性の共有と比較

国家の枠を越えた歴史学の課題

望ましい目的か?/達成可能な目標か?/対話へ向けて


訳者あとがき


索引/原註/参考文献