柏書房株式会社KASHIWA SHOBO

マーク・トウェイン完全なる自伝 Volume3

時代を超えて読みつがれる作家、マーク・トウェイン。 全3巻にわたる自伝の完結編。

定価
18,700円(本体 17,000円)
刊行
2018/07/10
ISBN
9784760149865
判型
A5
ページ数
1,016

内容・目次

内容

アメリカという国を見つめ、家族を見つめ、未来を見つめた作家の眼差し。あれから、世界は少しは変わっただろうか――100年前の文豪が、21世紀の私たちに遺したひとつのメッセージ。時代を超えて読みつがれる作家、マーク・トウェイン。全3巻にわたる自伝の完結編!


ジーンは亡くなった。そして、この「自伝」もここで終わる。3年前、私がこの仕事をする理由はあった。その理由も彼女とともに消滅する。私を動かしてきた理由は私の著作権の消滅を避けたいとする願望で、それによりジーンとクレアラが私の死後にも、その本から十分な生活ができるようにするためであった。(略)大切な人と関係のある些細な出来事のすべて── その大切な人の予想外の死に先立つ24時間の出来事を紙に記そうとした人がかつていただろうか?(略)それは毎日いつでも起こってきた些細なことであり、以前にはあまりにつまらない、しかも簡単に忘れられると思っていたものだった──しかし今は違う。今では、なんと変わってしまったことか! それらが何と大切で、何といとおしい、何と忘れられない、何と哀感を誘う、何と神聖な、何と威厳のあるものであることか!(本文より)


【著者】
マーク・トウェイン Mark Twain(1835~1910)


本名、サミュエル・ラングホーン・クレメンズ。アメリカ・ミズーリ州フロリダ生まれ。五男二女の四男。家族で移ったミシシッピ河沿いの町・ハニバルで幼少期を過ごす。長兄が起こした新聞社で働き、印刷工を経て、蒸気船の水先案内人に。その後新聞社の記者となり、1861年に南北戦争が始まるとネヴァダ準州へ逃避。ヨーロッパ旅行記が評判になり、全国を講演しながら、多くの小説を書く。1876年の『トム・ソーヤの冒険』は爆発的な人気を博し、『ハックルベリー・フィンの冒険』はへミングウェイも絶賛。晩年は事業に失敗し、妻と娘に先立たれるなど不遇な生活を送る。1910年、74歳で死去。


【編者】
マーク・トウェインプロジェクト The Mark Twain Project


1967年から活動している、カリフォルニア大学バンクロフト図書館の編集・出版事業。マーク・トウェインのすべての著作について総合的に、批評的に編纂することを目的としている。


【訳者】
和栗 了(わぐり・りょう)


1960 年、新潟県生まれ。神戸市外国語大学卒業、甲南大学大学院修了。 博士(文学)。就実大学教授。主な著書に『マーク・トウェインはこう読め』(柏書房)『Mark Twain and Strangers』(英宝社)訳書に『マーク・トウェイン書簡集第一巻』(大阪教育図書)などがある。


山本祐子(やまもと・ゆうこ)


1969 年、大阪府生まれ。神戸女子大学卒業、神戸女子大学院修了。神戸女子大学非常勤講師。主な論文に「マーク・トウェインの未完作品『インディアンの中のハック・フィンとトム・ソーヤー』──記憶と深層心理を探る旅」「The Golden Corpse ──遺体への眼差しが変わるとき」(『関西マーク・トウェイン研究』第2号)などがある。