柏書房株式会社KASHIWA SHOBO

地図で読む江戸時代

定価
16,500円(本体 15,000円)
刊行
1998/10/01
ISBN
4760116702
判型
ページ数
272
ジャンル
歴史・地理

内容・目次

内容

江戸時代の多色刷地図は世界の先端を走っていた! 世界図から都市図,道中図,名所図,温泉図まで,爛熟した庶民文化の華としてのさまざまな地図の成立とその背景を読む。カラー/モノクロ地図約250点を収録。テキストは和英併記のバイリンガル表記。


刊行にあたって <山下和正>
地図が旅の案内人であるとするならば、古地図はタイムトリップのマシンといえる。古地図を手にすれば、若干の想像力の助けをかりながら時空を超え過去のその場所に入り込んでいくことができる。私はこのような興味から本業の建築の仕事の合間を縫って古地図の収集と研究をはじめ、30年近くもたってしまった。
本書ではとくに江戸時代の地図の概要を紹介しようと試みた。日本文化の諸相は、多分に江戸時代の鎖国と安定のおかげで独自に熟成したが、地図もまさにその一例である。都市図や道中図などの刊行地図は、江戸時代中期の1720年代(享保頃)から庶民階級にまで広く普及した。これは往時の外国には例がなく、また1760年代(宝暦末)に始まった地図の多色刷印刷はヨーロッパの石版多色刷印刷よりも早いできごとであった。浮世絵のような華やかな地図が生まれ、その技術とデザインは、幕末にはひとつのピークに達していた。
本書により、江戸時代の地図の多様性と美しさ、また解読の楽しさを味わっていただき、さらに江戸という興味深い時代とその文化を読む手がかりにしていただくことができれぱ著者の幸いとするところである。



目次

概説/1 前史 / 2 官撰地図と民間地図 / 3 地図の出版と版元 / 4 江戸時代の測量技術  /5 江戸時代の図法 / 6 地図の製本形式 / 7 地図の分類綱目 / 8 世界図・日本全図・国図 / 9 都市図 / 10 道中図 / 11 分類方法の試案 / 12 地図の作成者/参考文献