柏書房株式会社KASHIWA SHOBO

理想郷としての第三帝国 ドイツ・ユートピア思想と大衆文化

なぜ啓蒙主義はナチズムへと帰結したのか?

定価
5,280円(本体 4,800円)
刊行
2002/11/01
ISBN
4760123024
判型
A5
ページ数
400
ジャンル
歴史・地理

内容・目次

内容

18世紀後半の啓蒙主義から20世紀のナチズムへとつながるドイツの「民族主義的 ユートピア」の変容を、ビラ、小冊子や未来主義的SF小説、さらには大衆に愛読さ れた低俗小説などを手がかりに紐解いた好著。


目次

はじめに第1章 祖国統一の願い

1 「独逸(teutsch)」の自由をめぐる啓蒙期の考え方

2 解放戦争から48年革命まで

第2章 宰相ビスマルクとヴィルヘルムニ世の治下で

1 1871年以降の民族主義的な野党勢力

2 世紀転換期の「進歩的反動」の思想圏

3 ヒトラーの「ウィーンにおける修業と苦難の時代」

4 「1914年の理念」――ヴィルヘルムニ世と全ドイツ連盟の併合政策

第3章 ヴェルサイユの屈辱」以降

1 宗教的未来像における新皇帝待望論

2 「新右翼」の躍進

3 初期ナチ党(NSDAP)の将来構想

4 国粋主義者の救済救国ユートピア

第4章 「相対的安定期」のヴァイマル共和国

1 民族主義的な暗黒郷――ドイツの「アメリ力化・黒人化・ユダヤ化」

2 農本主義と人種差別主義――種改良の思想

3 ヒトラーの『わが闘争』

第5章 1929年の世界恐慌――イデオロギーへの影響

1 反民主主義的ナショナリズムの新グループ

2 文学的ヴィジョンとしての「世界最終戦争」

3 ユートピア願望――強国として復活するドイツ

4 「政権担当能力」をつけはじめたナチ党

第6章 政権掌握

1 国民理念の勝利

2 政権初期のユートピア

3 ゲルマン崇拝と北方民族化

4 生きつづける神話――農民と郷士

5 第三帝国の芸術と日常生活における「美」の役割

6 総統崇拝

7 騎士団結社と聖杯伝説

8 ドイツの「世界観を伝道する」空想科学小説

第7章 世界制覇の野望

1 「ドイツ民族解放闘争」としての第2次世界大戦

2 「東方の大ゲルマン帝国」の夢

3 ヒトラー晩年のモノローグ

訳者あとがき

邦訳文献リスト

原註

人名索引